畳まれた服、整えられたベッドを見て、驚く二階堂さん。


「…すみません。出過ぎた真似だったかもしれませんが…」

「そんなことはない。助かったよ、ありがとう」


二階堂さんは、わたしが整えたばかりのベッドに横になった。


「なにからなにまで、すまないね。本当はこんなこと、亜麗朱のだれかに頼めればいいんだけど…」


しかし、二階堂さんにはそれができなかった。


――それは、亜麗朱の総長であるから。

メンバーには、薬の副作用のことはおろか、持病があることすら話していないらしい。


「総長が実は病弱だなんて知ったら、きっと心配させるだろうし。こんな姿も…メンバーには知られたくないんだ」


さらには、亜麗朱の総長が弱っていると聞きつけたら、他の族が抗争をしかけてくる可能性も考えられる。