イケメン総長は、姫を一途に護りたい

そんなわたしの話を、なんだかうらやましそうな表情を浮かべて、二階堂さんは静かに聞いてくれていた。


「へ〜。楡野さんが彼女だって、緒方が言い張ってるだけかと思っていたけど…。その様子を見るに、本当みたいだね」


二階堂さんは、優しく微笑む。


「この辺りじゃ、『鬼神』と呼ばれるあの緒方が、…ゴホッ。実は、女に弱かったとはね」

「でも、本当に付き合っているわけじゃなくて…」

「そうなの?…ゴホッ」

「はい。わたしをそばで守ってくれるために、彼氏の“フリ”をしてくれているだけなんです」

「…ゴホッ。そういうことかっ…ゴホッ。でも、楡野さんは緒方のこと――」


と言いかけた二階堂さんが、急に咳き込み出した。


…さっきから、咳が続いているなとは思っていたけど。


「…ゴホッ!ゴホッ!!」