イケメン総長は、姫を一途に護りたい

二階堂さんがわたしになにかしてこないか、常に気を配っているように見えた。


きっと、『わたしのそばにいる』というお父さんからの頼みを、忠実に聞いてくれているからだ。


しかし、千隼くんも『慧流座の総長』なわけで――。



「…総長!ヒロトたちが、他の族に絡まれているらしいです…!!」


慌てて生徒会室に入ってきたのは、慧流座に属している皇蘭の男子生徒。


どうやら、慧流座の地位を狙った他の暴走族が、慧流座のメンバーに手を出しているらしい。

わたしが知る限りでは、今回が初めてのことではない。


たとえ小さな抗争であっても、総長である千隼くんが駆けつけないわけにはいかない。

メンバーに手を出されているなら、尚更。



「…咲姫、わりぃ。しばらくここから離れる」

「わたしのことは気にしないでっ。ヒロトくんたちのことが心配だから、早く行ってあげて!」