千隼くんはわたしを後ろから抱きしめると、わたしの顔をみんなに向ける。


「ほら、見ろよ。俺にキスされて、咲姫の顔がこんなにもとろけそうになってんだろ」


自分でも、顔が火照っているのがわかる。


みんなの前で、千隼くんにキスされて。

うれしいのか恥ずかしいのか、これがどういう感情なのかはわからないけど――。

…とにかく顔が熱いんだっ。



「さ…咲姫ちゃん。…そんなっ」

「ちょっとくらい、嫌がったっていいのにっ…!」


千隼くんにキスされた無抵抗なわたしを見て、みんなは悟ってしまったようだ。


あんなに溢れていた男の子たちだったのに、一瞬にしてわたしの前から引いていった。


千隼くんのキスは、一撃必殺の技だった。



そのあと、2人きりになったときに千隼くんに謝られた。