『証拠』って言ったって…。

そんなの、あるわけない。


だって、ただの口約束なんだから。


千隼くん、怒ってみんなのこと殴ったりしないよね…?


不安に思いながら、千隼くんの顔を覗き込むと――。


「わかったよ。じゃあ、証拠…見せてやるよ」


その言葉に、キョトンとするわたし。


…えっ、どうやって?



千隼くんは、みんなに背中を向けるようにして、わたしのほうへ振り返った。


そして、わたしの顎にそっと手を添えて。

みんなが見ている目の前で…。


――わたしの唇に、キスをしたのだった。



それはもう…。

息をするのも忘れるくらい、一瞬の出来事で。


満足したように、ペロリと舌なめずりをした千隼くんの表情が…どこか色っぽい。


「今のが、俺らが付き合ってる『証拠』だよ」