「うん、わたしも大丈――」


そう言って、千隼くんがわたしの体を起こしてくれたとき…ハッとした。


見ると、千隼くんのパーカーの前ファスナーが開いていて、胸板が露わになっていた…!


さっきまでは、ちゃんとファスナーは上に上がっていた。


どうやら、わたしが押し倒したときに、ファスナーを引っ掛けて開けてしまったらしい…!


「…ごめん!すぐに閉めるっ!」


わたしのせいなのに、慌てた千隼くんがファスナーに手をかける。


…しかし、わたしはその手を止めた。


「ねぇ…千隼くん。これって…」


わたしは、見つけてしまった。

さっきは背中で見えなかったけど、千隼くんの左胸に…斜めに線の入った傷痕を。


「ああ、これ?喧嘩でちょっと…な」

「ちょっと…?でも、殴られたくらいじゃ、こんな傷痕にはならないよね…?」