お風呂セットを抱えると、ロフト下のシャワー室へ向かった。


そしてそのまま、なにも考えずにドアを開けた。


しかし、だれもいないと思っていたシャワー室のドアを開けた脱衣所で見えたのは――。

水滴がこぼれる筋肉質な背中。


それに驚いて、わたしはその場で固まってしまった。


すると、その体をひねったときに目が合ったのは、…千隼くん。


「…そんなところに突っ立って、どうした?」


タオルで髪を拭く千隼くんが、キョトンとした表情でわたしに目を向ける。


初めて見る男の人の上半身に、わたしはとっさに目のやり場に困ってしまった。


「ご…ごめん!まさか、千隼くんがシャワー浴びてたとは思ってなくて…!」


慌てて、バスタオルで顔を隠す。


これは、…完全にわたしの不注意だ。

ノックをすれば、防げた事故。