とくに、肉系料理の争奪戦が激しい。


巻き込まれたらケガをしそうな勢いだから、わたしは端っこの席に座って、様子を窺っていた。


「毎回、ああなんだよ。べつに取り合わなくたって、全員に行き渡るように作ってくれてるのに」


千隼くんは、呆れたようにため息をつく。


「でもわたしは、こんなに大勢で集まってごはんを食べることなんてなかったから、なんだか見ていて楽しいよ」


わたしに男兄弟がいたり、もっと大家族だったら、毎回の食卓はこんな感じなのかなと想像していた。


食事のときは、いつもお父さんと2人きりだったから。

それに、お父さんの帰りが遅い日は、1人で食べたりもしていたし。


だから、お母さんがまれに退院して帰ってきたときに、家族3人でする食事の時間が大好きだった。



そして、千隼くんとごはんを済ませて、部屋へ戻った。