恥ずかしくて顔が赤くなるわたしの反応を楽しむかのように、千隼くんが見つめてくる。


こんな至近距離で見つめられたら、ドキドキしちゃうからやめてほしい。


千隼くんから顔を逸らそうとしたけど、そのとき――。

手に、やんわりと温かいものが触れる。


そして、わたしの指を絡めるようにして、そっと手を繋がれた。


驚いて目を向けると、なんと千隼くんがわたしの手を握っていた…!


「ちっ…千隼くん…!」

「べつに、普通のことだろ?俺ら、カレカノなんだから」


そう言って、千隼くんが意地悪に微笑む。


確かに、彼氏と彼女なら手だって繫ぐけど…。

わたしたちって、付き合ってる“フリ”なんだよね…?


こんなことまで、再現しなくてもいいんじゃっ…。


「咲姫さん、耳まで真っ赤っすよ!」