「千隼くんは、…それでいいの?」


わたしなんかが彼女のフリをして、迷惑じゃないかな。


「俺は、そのほうがいいと思う。咲姫は、俺が彼氏で迷惑かもしれないけど」

「…そんなことないよっ!」


わたしは、千隼くんが彼氏でうれしい。

本当の彼氏じゃなくたって、わたしのそばにいてくれるなら、…それで。


「そういうことにしておけば、慧さんもわかってくれるだろうし」


千隼くんの言うとおり、お父さんが信頼している千隼くんが、わたしの彼氏の“フリ”でそばにいてくれたら、きっと安心してくれるだろう。


千隼くんは、いつだってお父さんのことを考えて行動してくれる。

この『彼女宣言』だって、そのためのものなんだから。



「…そういうことだから。改めてよろしくな、咲姫」

「う…うんっ」