イケメン総長は、姫を一途に護りたい

「総長にはナイショで、オレと付き合っちゃいましょうよっ」


口元に人差し指を立てたヒロトくんが、わたしを部屋の角に追い詰める。


…これ以上、逃げ場はない。


ヒロトくんの突然の豹変に、困惑していた――そのとき。



「誰にはナイショだって?」


静まり返った部屋にそんな声が響いて、驚いて振り返る。


そこにいたのは、部屋の入口で壁にもたれながら腕を組む…千隼くんだった!


「…千隼くん!」

「お前、なにしてんだよ」


怒ったような千隼くんが、わたしのところに歩み寄ってくる。


そして、千隼くんが拳を作った手を振り上げた。

とっさに目をつむると――。


「いっってぇぇ…!!」


わたしの隣から、痛みに苦しむ声が漏れた。

見ると、ヒロトくんが頭を抱えてしゃがみ込んでいる。