ヴェロニカに連れられて、彼女が現れた。

「ラブさん。この前は、気が動転して、大変失礼なことを言ってしまいました。本当にごめんなさい」

目を伏せたままの彼女。
美樹の母親である。

「早苗さん。来てくれてありがとうございます」

それ以上の言葉が浮かばないラブ。
そこに、メイが割って入る。

「ラブ、実は昨日早苗さんから電話をもらってね。美樹ちゃんもこのイベントに招待されていたんだって。ビックリしちゃったわよ」

(・・・⁉️)

「そ・・・そうなんですか」

「はい、高知へ来た時も、あの子はずっと、ラブさんやメイさんの話をしてくれました。自分もいつか大きくなったら、私みたいな可愛そうな子を、助けてあげるんだって・・・このイベントも大変楽しみにしていました」

うつむいた早苗の足元に、涙が落ちる。

「私は、あの子に言ってあげたのです。美樹は、ラブさん達にこんなに愛されて、幸せだよって」

「早苗さん・・・」

「私はそんなあなたに、あんなひどいことを言ってしまいました。どうか許してください。なかなか勇気が持てなくて、ここへ来られませんでした。夢の中で、あの子がいつも言うんです。ラブは悪くないって。美樹を愛する様に、ラブを愛してあげてって・・・。ほんとにごめんなさい」

涙の早苗をヴェロニカが支える。

ラブは、真っ直ぐに、早苗の目を見て言った。

「ありがとう早苗さん。あなたが来てくれたおかげで、私は救われました。今日は、美樹ちゃんの代わりに、ここで、最後まで見ていってください。メイ、お願いね。ヴェロニカちょっと」

深く一礼して、ラブがヴェロニカを連れて出て行く。

涙がこぼれていた。