~子供の日迄あと5日~

イベントが近づいたテラでは、入念なチェックが繰り返し行われている。

テラが用意したお台場のホテルには、世界中から選ばれた子供と、その親達が集まって来ていた。

子供を持つ要人も多く集まり、合衆国大統領ウォレスト・バーンもその一組である。

毎夜、ラブは集まってくる人たちを相手に歓迎のパーティーを開いていた。

「えらくお早いお着きね、バーン。よほどお暇なんかなぁ~」

「ラブ、そう言うな。他の外交も兼ねて来てるんだ。それに、娘がうるさくてな。こう言う時に点数を稼がないと」

「いい娘さんね。今、メイがスタジオを案内してるわ」

「ところでラブ、例のテロのことだが…警備は大丈夫なのか?」

「ええ。1万個のモニターでアイが監視してるし、T2が開発した気体爆弾探知装置も一月前から稼働してるわ。空からは、各国の監視衛生が見張ってる。少なくとも、爆弾を持ち込むのは不可能よ」



~約1ヶ月前~

イベントテーマ曲の作曲家ミカエル・シャーンのスタジオが爆破され、中にいた彼が死亡した。

その一週間後、フランス防衛長官の家でも爆発事件が起き、一家全員が死亡。その息子は、このイベントに招待された内の一人であった。

不安と混乱を招くため、このことは一般には報じられなかったが、それ以来、EARTHや各国の組織は、招待された要人の警護を行なっていたのである。


ラブの携帯にメイの着信が入った。

「ラブ~。さっきあなたの友達って人に会って、そこを教えといたわ。私はプリンセス様が、新曲を聞きたいって言うから、部屋へ行ってるわ」

「了解。気をつけてね」

電話を切ったラブの前に、サバが現れた。
サラエボの難民診療所に務める医師である。

「サバ!どうして?子供でも隠してた?」

「いやいや、俺は付き添いだ。政府から通知が来て、彼らが招待客に選ばれたんだよ。お~い、ラブがいたぞ。こっちだ」

タキシードを来たロブ(ララの兄)が二人の弟を連れて駆けてきた。

「ロブ!信じられないわ。すっかり元気ね。そうかぁ。この子達が選ばれたのね…」

「ラブ…ハグしていいかな…」

「紳士は、さりげなくやるものよロブ!」

言うなり、ラブは思いきり彼を抱き締めた。