弾みでラブの体がソファーへと崩れた。

「なにすんのよ!このヤクザ!」

メイが掴みかかるが、全く気にしないで鬼島はラブに語りかけた。

「ラブ、おまえは人の運命まで変えるつもりか?大きなお世話だぜ。俺はごめんするよ。俺はおまえが気に入って、俺の意思でここにいるんだ。死んだあの子もきっとそうだ。おまえを恨んだりするわけがねぇ。好きな人、愛する人の側にいて何が悪りぃ。どっか行けって?冗談じゃねぇ。想うのはこっちの勝手だし、指図される筋合いもない。思いあがるんじゃねぇ!さっきみたいな言葉を聞いたら、死んで逝ったやつらが浮かばれねぇじゃねぇか」

修羅場をいくつもくぐり抜けてきた男の、心からの言葉に、さすがのメイも後ずさった。

ラブの目に、ゆっくり光が戻って来た。

「ラブ。おまえは、たくさん愛されてるんだ。一人じゃないんだぜ。俺だっておまえを愛している。おまえの為に命捨てられるなら本望だ」

「ラブ、私だっておんなじよ。殺されたってあなたの前から消えやしないわ!」

「組長…メイ…」

「ラブ。私は絶対に奴等を許さない!美樹を殺した奴等を、ラブを苦しめる奴等を絶対に許さない!力を貸してラブ。あなたしかいないの」

「及ばずながら…俺と、俺の三千の兵隊も力を貸すぜ」

「…分かった…ありがとうメイ。ありがとう組長」

ラブは鬼島の大きな胸に、顔を埋めて泣いた。

必死に抑えていた悲しみ、苦しみ、悔しさが一気に溢れ出していた。

「おいおい。これでも俺はひとりもんだぜ。刺激が強すぎやしねぇか?」

「ばか…」

三人の顔に笑みが戻った。

ラブの頭に、アイの声が入る。

(ラブ様、作曲家ミカエルのスタジオが爆破されました)

ラブに休んでいる暇はなかった。