~高知龍馬空港~

「良介さん、色々ありがとうございました」

空港まで車で送ってくれた彼に別れを告げ、メイは搭乗ゲートへ向かう。

その向こう側、VIP専用通路から、者者《ものもの》しい警護をつけた鷲崎首相が現れ、ちょうど、メイを妨げる形となった。

「ちょ、ちょっと!何よ、ゾロゾロと横入りするんじゃないわよ!待ちなさいよ」

「権力」というものが生理的に気に入らないメイである。

とりあえず、一番近い男の襟元を掴んだ。

が、次の瞬間、3倍の数の男に取り押さえられてしまった。

目の前に銃が突きつけられる。

「えっ!えぇぇぇ~❗️嘘でしょ?ちょっとタンマ~💦」

その声に、鷲崎が気付いた。

「メイか? メイじゃないか!おい、彼女を放さんか!」

「おっちゃん・・・」



ラブと親しい鷲崎は、時々ラブのもとを訪ねていた。

首相になる前のある朝のこと。

鷲崎の秘書が、メイの前に立った。

「鷲崎がトーイ様にお会いしたいと・・・」

寝癖がうまく修正できず、イラついていたメイは、この時点で既にキレた。

(会いたいなら、自分の口で言いやがれっつぅの!)

秘書の後ろに立つ鷲崎をチラっと見て、

「「トーイ様」は、今日も朝からすっごく忙しいと思います。番号札をお持ちしましょうか?」

秘書が予想外の顔をしてたじろぐ。

その後ろから、

「メイさんだね?」

笑いをこらえながら、鷲崎が近づく。

「子供じゃあるまいし、自分の口で喋れ!ってところかな?ハハ。ラブから君のことは良く聞いてるよ」

鷲崎の優しい笑顔は、メイの機嫌を一発で治めた。

「失礼した。実は、今日はラブに重要なお願いがあって来たんだよ。事前に連絡はしてある。受付で16スタジオにいると聞いたのだが・・・通してくれないかね?」

もう断る理由はなかった。

「ちょ、ちょっとお待ちを」

何も動じてない振りをして、メイは16スタジオへ入る。

ラブは着替えの真っ最中であった。

またセットで寝てしまったのである。

「ラブ、変なおっちゃんが会いたいって、表にいるよ」

「ああ、鷲崎さんね77

「そうそう、確かそんな感じ。・・・どっかで聞いた様な・・・?」

「記憶力いいメイが何?しっかりしてよ。もうすぐ首相になる「おっちゃん」よ!」

(オーマイガー💦)

・・・それ依頼、鷲崎は「おっちゃん」であった。