そして・・・

風の音さえも静まり返ったそこには、工場の姿は跡形もなく、無残な残骸として散らばっていた。


その残骸の中で、弱々しく何かが動く。

(いったい・・・何が・・・)

驚異的な生命力と、人知を超えた肉体再生能力を持つラブ。

強化スーツはボロボロになりながらも、奇跡的に一命は取り留めていた。

体にのし掛かったものを、動かそうとする。

(ハッ!?)

「そんな・・・」

上に重なっている『もの』に、見覚えのある計測器の残骸がまとわりついていた。

(そんな・・・そんなこと・・・)

悔しさと絶望が、ラブの胸を締め付ける。

隊員たちは、身を呈してラブを守ったのである。

それ以上言葉を発することも、仲間であったものを動かすことも、今の彼女にはできなかった。

ただ・・・何へともなく手を伸ばす。

意識が遠のく。

涙が頬をつたう。

(みんな・・・ごめんなさい・・・)

(ごめんなさい・・・)

(ごめん・な・さ…)


繰り返しながら、深い眠りへと落ちて行くラブ。

力なく握り締めたボロボロの拳が、冷たい雪の大地に落ちていく。


と、その時。

誰かが、その手を掴んだ・・・。