システムが再起動される音を聞いて、ラブの体は崩れ落ちた。


部屋の前では、壊れたドアを開ける準備が進んでいた。

誰かの言葉ではないが、全く融通の効かない設備である。


急ぐ様にと怒鳴っている所長の後ろに、T2が立っていた。

「どけっ!」

壊れたドアの、わずかな窪みに手を掛ける。

「うりゃー❗️」

所長達の「愚か者」を見る様な目の前で、頑丈なドアは、素手でこじ開けられた。

「ラブ!!」

瓦礫の中に、ラブが横たわっていた。

体中には無数の傷があったが、出血は止まり、既に幾らかの皮膚は再生を始めていた。

「ラブ!無茶しやがって。ボロボロじゃねぇか。お前が死んだら、俺たちがいる意味もなくなるんだぞ。バカヤロウ」

ラブの体を抱きしめ、T2は涙を流していた。

護衛役でありながら、いつも守ってやれない自分が歯がゆかった。

「T2、来てくれたの。ありがと。悪いけど…ちょ、ちょっと痛いわ。力落として」

「ラブ!あっ、悪りぃ💦つい力入って」

微笑むラブ。

「帰ろう。T2」

T2は、ラブを抱き上げ、部屋を出て行く。

「こ、これを」

所長は、ラブの体に自分の上着を被せ、一歩下がり、この小さな救世主に敬礼をした。

T2に抱かれて、ラブは、遥か彼方の銀河を思い浮かべていた・・・。


「ラブ、腕ブラブラさせないでくれないか?歩きにくくって仕方ねぇ」

「T2…あのね、それ折れてるの。ブラブラ結構痛いんだけど…💧」

「バ!バカやろう。早く言えよ💦」

言わなくても分かりそうなものを…と思いつつも、メチャメチャに破壊された、厳重な防衛設備や、壊された壁を見ると、言えなかった。

彼は、許可もなしに、無我夢中で、ここへ突入したのである。

たった一人で、この防衛網を突破して…。

「T2、ありがと」

「はぁ?何度も言うなよ。それが俺の役目だ」

T2でも照れるのである。

周りを見る限り、人に危害は加えてない様であった。

「ところで…来た道を戻らなくても、帰りぐらいは普通の道を通らない?」

彼が開けた7つ目の壁の穴をくぐり抜けた時、ラブは言った。

「こっちに飛行機が停めてあるからな」

やっと外へでた。

(………💧)

「あなたの飛行機って…もしかしてこれ?」

外壁を突き破って侵入して来た機体が、カモフラージュされた建物に突き刺さっていた。