間もなく、ヘリが二人を引き上げた。

「ロビン、ありがとう。また助けられちゃったわね。私、もう・・・」

「まさか、もうだめだ、なんて思ったんじゃないでしょうね?」

ロビンが震えながら笑った。

「絶対に諦めないラブ様だから、そんな弱音を吐く分けはないか。ハハ。失礼しました」

ラブは、この頼もしい友人の唇にキスをした。

「あたり前よ!バカね」

けして凍らない、温かい涙が頬を伝った。

一方、ロビンも男。
ラブのキスに、かなり時めいたのは間違いない。

ただ・・・凍えた唇は、残念ながら、何も感じはしなかった。


空母へ戻ったラブとロビンに、医療チームが走り寄る。

「私は大丈夫だから、ロビンを診てあげて」

ラブは、もちろん不死身ではないが、常人の数十倍の回復能力を持っていた。

既にダメージは、ほぼ解消していたのでる。

「何人・・・何人助けられなかったの?」

沈んだ声で、ラブはきいた。

「ラブさん、それをお聞きになるなら、何人助けられたか?でございます」

目の前に、ヴェロニカが立っていた。

「研究所にいらしたのは、76名。そのうち、63名が助かりましたわ。奇跡です。全てあなたのおかげ。何と感謝すればいいか・・・」

「いえ、私の無茶に付き合ってくれた、みんなのおかげよ。それと、諦めなかったあなたたちも」

二人は、固く握手をした。

これが、運命の出逢いになるのであった。


と、その時、一息つく間も与えず、ラブの意識にアイの声が入った。

(ラブ、先ほどハワイ沖の海中施設で、爆発事故が発生しました。ティークが向かっています。)

そのニュースは、直ぐに船内にも流れた。

ハワイ島の南約120キロに、アメリカの次世代エネルギー開発施設があった。

ロシアの施設と同じ目的のものである。

ラブの頭の中で、パズルが一つハマった。

(アイ、ロシアの施設に最近出入りした人のリスト見せて。)

重要施設であるため、出入りする人物は、全て指紋と顔写真で管理されている。

暫くして、メイからのデータがラブに届いた。

ラブは一人の人物を見つけた。

それは、ティークからもらったリストにあった人物。

つまり、アラスカで行方不明になっている15人の内の一人であった。

(アイ、居たわ。アメリカの施設も同じように調べてみて。)