ラブの率いる部隊が、一つ目の建物に近付く。

「ラブ様、北東の窓の前。足元に銃器を置いた監視が二人います」

ラブの頭脳に、マザーコンピューターアイの声が届く。

「了解、素敵な監視衛星だこと。そう・・・、足元ってことは、バレてはいない様ね」

「距離53、風速・・・・・・」

隣で計測員の言葉が詰まる。

「あなた、計測の経験は?」

苦悩する彼に、ラブが優しく問う。

「2年です。ですが、吹雪の経験は・・・」

「そう、2年か~。私は、全然よ。私に目をつむって撃てって?ここにいる誰が一番だと思う?」

この緊張下で、微笑むラブ。

真剣な瞳が、彼の目を真っ直ぐに見つめた。

(勇気を出して)

「じ・・・、自分であります」

「そう。だから、あなたが必要なの。私に力を貸して。私は、あなたを信じる!」

彼の心に、ラブの想いが響いた。

「はい❗️」

しっかり、うなづく。

「距離53、風速・・・15!5時から7時の方向へ不規則に変化します。合図を待ってください」

「は~い。指が凍りつく前にお願いね」

ショックライフルを構えるラブ。
殺傷能力はないが、気絶させる威力はある。

雪が凍り付くゴーグルを外し、そのまま待つラブ。

「慌てないで、私は大丈夫」

まばたきできない瞳が凍える。

「今です❗️❗️」

その一つ目のビックリマークで、躊躇《ちゅうちょ》なく引き金を引いた。

「バシュ、バシュ!」

一瞬にして、二人が倒れた。

「お見事です」

「その言葉、そのまま返すわ。ありがと!」

ラブの持つ特殊能力を持ってすれば、計測器は本来不要であった。

だが彼女は、彼の言葉を信じたのである。


立ち上がり、全員へ指示を出す。

「まずは、第一部隊《わたし達》が突入します。第二、第三部隊は次の建物に近づいたまま待機」

部隊へ合図を送る。