「ラブ、機体の分析データから、アイと協力して発進地を割り出したぜ」

T2は、メカに長けており、数々の特殊機器や武器を生み出す他、情報処理や分析役を担っていた。

身長165センチ、派手な衣装に包まれた歌舞伎者である。

マシンの操縦はラブを凌ぐものがあり、また、体中の関節に埋め込まれた「パワーチップ」という筋力増強組織体により、強大なパワーを発揮できる。


「この機体の故郷は、今はなき第3銀河のサヴァージ星。この地球《ほし》の時間で言えば、ざっと2百年前に発射されたものだ。進路は、間違いなく地球《ここ》にセットされているぜ」

「アイ、サヴァージ星のデータを」

メインモニターに映る女性(アイの擬体)へ、ラブが話しかけた。

「サヴァージ星。かつて大銀河帝国の監視惑星としてあった無人の星。機密惑星につき、その全容は不明です。星間戦争で帝国が崩壊した折に、破壊されていますので、今回の出艇の記録を調べることはできません」

「帝国崩壊・・・か。とにかく、T2とアイは、サヴァージ星の調査を続けて。ティーク、行方不明者のリストを送って」

ラブが、自分の頭を指さして言う。

ラブの特殊能力のひとつ。
彼女の頭脳は、アイと繋がっている。

簡単に言えば、テレパシー通信の様なものである。

嫌な予感が、ラブの中で形を作り始めていた。


「ラブ、メイからの伝言です」

(ラブ~、先に行ってるからね。遅れないでよ~)

アイを通して、ラブの意識にメイの留守電が入った。