「ラブさん。2日前、ララが突然お見舞いにきたんだ。あのレストランのランチを持って…」



~2日前~

「お兄ちゃん!」

「ララ!仕事は?」

「今日はお休み~。これ覚えてる?ラブが買ってくれたランチ」


『パーツ』の買い手が見つかり、さすがのショップ店主も、『最後にゆっくりお兄ちゃんに会ってこい』と図ってくれたのである。


「お前、これ高いだろ?」

「いいの、大丈夫。お兄ちゃんの手術費用がたくさん余って、お金に不自由はしてないの。お金はサバおじさんが持っててくれてる」

そのお金について、ロブはサバから真実を聞いていた。

「ラブってさぁ~。神様だよね。私もあんなに綺麗で素敵な人になりたいなぁ~。お兄ちゃん、ラブのこと好きでしょ?」

「ブハッ💦」

急な振りに、ロブは飲もうとした薬を吹き出した。

「ハハハ。やっぱりね~。でもザンネ~ン。恋人はいらないんだって。やらなきゃいけないことがたくさんあって、愛してあげる時間がないって。それにラブは怖い人達から狙われたりするから、彼を危険な目に会わせたくないんだって。絶対にやせ我慢だよアレ。あんなに泣き虫なんだもの」

いつも以上によく喋るララを、少し変には思った。


「ラブを必要としてる人達は、世界中にいるんだよ。スーパースターなんだから。それより、お金あるなら、いつまでもあんなところで働かなくていいじゃないか」

「うん…でも…約束だから」

「まったくお前は、真面目だからなぁ。まぁ無理するなよ」

ララは本当のことを言わなかった。


そして帰り際、少しかしこまってこう言ったのである。


「お兄ちゃん、私達を育ててくれてありがと。あのね…お願いがあるんだ。次にラブが来たら、こう言って欲しいの。

『こんど謝ったら、友だちやめちゃうよ』

ってね」

「なんだそりゃ?」

「アハハ。いいから、約束だよ」

ララには、泣き虫のラブが、また泣く事が分かっていたのである。



〜葬儀場〜


「ララったら…」

涙がまた溢れて来る。
しかし、ラブの顔に笑みは戻った。


「ララ、ありがと」


そう言ってラブは、ララの唇に、そっとキスをした。


(泣かないで、笑って…ラブ)


優しいララの声が、聞こえた気がした。