~ヴァロンの要塞~

「ミゲル、パワーはまだか?」

「間もなくです」

「こうなったら・・・この星のエネルギーを直結させろ。一気に世界を焼き尽くすのだ」

「そんなことをしたら・・・この星までも・・・」

さすがのミゲルも躊躇《ちゅうちょ》する。

その時。

「待て❗️そんなことはさせない。装置から離れろ、将軍。さもないと・・・」

カイザル博士が、ヴェロニカを後ろ手に掴んで、現れた。

ヴェロニカの頭には銃が当てられている。

「さ、さもないと、お、お前の娘がし・・・死ぬことになるぞ❗️」

一瞬、驚きの顔を見せるラルフ。
が、すぐに不敵な笑みを浮かべる。

「パチパチパチ」

「上出来だよ、博士。よくもそんな勇気があったものだ。それとも、娘に悪知恵を吹き込まれたか?」

ラルフの言う通り、これはヴェロニカの策略であった。

「う・・・うるさい!いいから言うことを聞け❗️」

うろたえながらも、そう言った博士の顔が固まる。

ラルフが、銃口を向けていた。

「バンッ❗️」

「アッ❗️・・・そんな・・・パパ・・・」

ヴェロニカの胸の少し上辺り。
ジワジワと血がにじむ。

「しょ・・・将軍・・・自分の娘を撃つなんて・・・」

「ドサッ!」

ヴェロニカの後ろで、博士が倒れた。

弾はヴェロニカの肩を貫通し、後ろにいたカイザル博士の心臓を打ち抜いていた。

傷口をおさえて膝ま付くヴェロニカ。

「我が娘よ、我々人類はもう終わりだ。先に逝って待ってておくれ、寂しがることはない、私もすぐに逝く」

「パパ・・・」

額に向けられた銃口を、悲しげな瞳で見つめるヴェロニカ。