「ラブ・・・さん。そんなところじゃ・・・」

「リサさん。私はここでいいの」

ラブに駆け寄りかけた山本は、それ以上近づくことができなかった。


「世界中のみなさん。今まで、隠していて・・・本当にごめんなさい」

ラブは、床に額がつくまで、一礼をした。


「あの写真は、真実です」

再び世界がどよめいた。

誰もが、真実を知りたいけれど、その反面、心のどこかで「違う」という言葉を願っていたのである。

「専門家さんたちの分析も、否定はしません。私にはあの「力」があります」

ざわめきが増すスタジオ。

興味深々なスペシャリストたちが、質問を浴びせる。

「では、ラブさん。マイク・レイズを倒したあの光は何ですか?」

「あなたは、地球以外の星から来た、エイリアンなのですね?」

「その目的は何ですか?」

「仲間はいるんですか?」

山本が中に入る。

「先生方、少しお待ちを。順番に確認したいと思います」

我を忘れかけていた面々が、一旦黙る。

「ラブさん。答えてくれますか?」

まっすぐカメラを見つめるラブ。

また少しの間、スタジオが、いや、世界中が沈黙した。

「許してください。ウソは言いません。でも・・・その真実を、みなさんに告げることは、できません」

口の中で、噛み締めた唇から血が流れ出す。

史上最大の出来事に、専門家魂の火は収まらない。

「認めておきながら、話せないとはどういうことだ!」

「言えない目的でもあるんじゃないか❗️」

「我々人類をどうするつもりだ❗️」

もう山本の制止も効かない。

およそ20分の間、ラブは、じっと床に正座したまま、その罵声を受け止めていた。

カメラを見つめる瞳からは、次から次へと涙があふれる。

それでも、まばたき一つしなかった。