~ヴァロン遺跡~

世界各国が、地核エネルギーと火星の特殊な石により、次世代エネルギー開発を始めた頃。

ロシアは、このヴァロン海溝に海中施設を建設した。

その折に、偶然見つけたのがこの遺跡であった。


その存在は公表されてはおらず、ロシアの極秘部隊が調査に当たっていた。

海溝に開いた洞窟を抜けると、そこには、広大な古代都市が広がる。

その中央に、高さ約50メートルのピラミッド型の建造物があった。

内部は、今の人類の知能では、とうてい辿り着けないであろう、不思議な装置で埋め尽くされている。


その中心に位置する一室。


「カイザル博士、調査の状況は?」

「はい、どうやら地核の磁場と反動するしかけの様で、推定ですが、地球規模の強大なパワーを持っています」

「起動は可能か?」

「システム分析は完了しましたが、最終段階でやっかいなものが・・・これを」

モニターに、壁面に無数にはめ込まれた図形が映し出される。

「これらは、この建造物とは別に作られており、ここのシステムの制御を全てブロックしている様です」

「どうゆうことだ?」

「つまり、この壁は一種のパスワードの様なものであり、この図形たちを操作して解除されます」

「解読は?」

「未だ不明です。間違った選択をすると、二度と解除不能になる可能性が…」

「チッ」

苛立たし気に舌を鳴らす。

「海中施設に残っていたデータが、まもなく届く。何としても解読しろ」

「はい。しかし、これをどうするおつもりですか?」

「余計なことは聞くな博士。お前の考えることではない!」

「は・・・はい。申し訳ございません」

鋭い一喝に、引き下がるカイザル。


「無線が入っております」

研究員が無線機を持って現れた。


「私だ」

「将軍、ヴェニーの準備ができました」

「わかった。ごくろう」

(フフ…。我が愛するヴェニー)

無線を切った顔に、冷たい笑みが浮かんでいた・・・。