~武道館~

入りきれない程の、超満員御礼。

世界武術連盟が任意に開催する、異種格闘技のタイトルマッチである。

連盟に加盟する条件として、タイトルマッチへの挑戦が義務付けられていた。

表向きは合法に見えるが、裏では大きな金が動いている。


神明館にとっては、初の挑戦であった。

相手は、アメリカ。
現在最も恐れられている、史上最悪のチャンピオンチーム。

試合は、三人の勝ち抜き戦で、全員が負ければ終了。
防具は着用できるが、降参をするか、棄権するまで、時間無制限で続けられるデスマッチである。

司会がメンバーを読み上げる。

リーダーのマイク・レイズは、2メートルの長身であり、そのスピードと長いリーチを生かした蹴りで、何人もの選手生命を葬り去っている。

サブリーダのボブ・シリンダーにいたっては、300キロを超える巨漢であり、相手の攻撃にびくともしない体は、人間エアーバッグとも呼ばれていた。


「挑戦者! 神明館、ジャパン。Mr.神尾」

サラリーマンであるが、学生の頃は、世界大会にまで行った空手家である。

テラにある道場では、大山に次ぐ、有力者であった。

次ぐ、とは言うものの、神明館は、そもそも流派無しのオープンな鍛錬道場であり、二人以外は、素人ばかりなのである。

「神明館。Mr.大山❗️」

館内に拍手が起こる。
半分は、この無謀な戦いを挑んだことへの拍手である。

そして・・・。

「神明館。・・・トーイ・ラブ❣️」

館内に地鳴りの様な拍手と、悲鳴のような声援が起こった。

真っ白な道着を身に着けたラブが現れる。

(こりゃ、マジね・・・。)

笑顔で声援に応える。