~ロシア連邦ジルターン~


広大な草原に、真冬の容赦ない吹雪が荒れ狂う。

その中に立ち並ぶ工場群。
表に人の姿はない。

その半径100メートルを、白い迷彩服を着た、完全武装の部隊が取り囲んでいた。

「ベル、全員配置についたわ」

「ラブ・・・これは罠かもしれない。君にもしものことがあったら・・・」

ベルこと、ベルベット・スタンリィ長官は、地球規模の危機に対応すべく、ラブが作り上げた機密組織『EARTH(アース)』の長である。

EARTHは今、謎の世界的な犯罪組織『HEAVEN(ヘブン)』の絶滅に、全力を傾けていた。

昨日、ワシントンの街に、突如一発のステルスミサイルが打ち込まれ、同時に、HEAVENからの犯行声明が世界へ発信されたのである。

街の生誕際に訪れていた、合衆国大統領、ウォレスト・バーンを狙っての犯行であった。

危ないところで、ラブが派遣した戦士、ティークの護衛で難を逃れたものの、世界は改めて、HEAVENの脅威を思い知ったのである。

ラブ達は、監視衛星に残った映像を、特殊な技術で分析し、その弾道から発射地点を割り出したのであった。

それが、ここジルターンである。