車は、柚と楓の住むマンションに着いた。

「そこの来客者用の駐車場に駐めてもらってもいいですか?」

「ああ」

「響さん緊張してる?」

「かなり…」

「えっ?楓ですよ?」

「柚にとっては双子の兄でも、俺には彼女のお兄さんだ」

「でも、私も誉先生に会ったけど、緊張は…」

「あいつは、チャラいからな」

「楓も、響さんより年下なので、大丈夫だよ」

 何が大丈夫なのかわからないと思う響だが、柚が一生懸命リラックスできるように声を掛けてくれる気持ちは素直に嬉しい。ただ、電話で話した感じだと、かなりしっかりしていると思う。

 そして、今まで柚を守ってきた人物だ。彼にだけは嫌われるわけにはいかない。