オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜

 車が走ること数十分。到着したのは、綺麗なクリニック。内科だけではなく、小児科に、泌尿器科などなど、複数の科を持つ病院のようだ。

 駐車場も大きめなのだが、土曜だからか人気なのか、ほぼ埋まっている。

「ちょっと待ってて。保険証だけ預かっていいか?」

「はあ…」

 響は、保険証を預かり、訳のわかっていない柚を車に残し行ってしまった。どうしていいかわからず、ただ待つしか出来ない。そして、数分で部長が戻って来た。

「行こうか」

「はい」

「知り合いがいるから、すぐに診てもらえる」

「そうなんですか?」

 響についてクリニックに入り驚く。広く豪華な受付の前にはたくさんの患者さんが待っている。何科に待っている患者さんかはわからないが、待たなくていいのだろうか…

「部長〜」小声で声を掛ける。

「柚は、キスをしてほしいのか?」

「えっ?あっ、違います」

 思いのほか大きな声を出してしまい、慌てて口を押える。