オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜

 女医さんのお陰で誰にも会わず地下まで来れた。地下の駐車場に常駐している警備員にも声を掛けてくれ、あっさりと扉を開けてもらえた。

「ありがとうございました」

「お大事にね!明日、必ず病院に連れて行くのよ。今度起きてる彼女に会わせてね」

「はい。お礼に伺います」

「お礼はいいから、いい報告待ってるわ」

 どうやら、響の気持ちは筒抜けだったらしい…

 自宅は、目の前。オフィスビルと同じ会社が建設管理している。32階建てのマンションは一階にスーパーやカフェなどの店舗が入り、2階にエントランス、低層階が賃貸、高層階が分譲となっている。

 響は、20階の分譲に住んでいる。2LDKの部屋は広々としていて、独身の会社員にとってはかなり贅沢な物件と言える。就職して5年ほど経った頃、たまたまこのマンションが売りに出ていた。仕事が楽しく不規則な生活には、通勤に時間を取られないこの物件は理想的だった。

 仕事もやりがいがあり、しっかり評価してもらっていたので、思い切って購入したのだ。