オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜

 響が柚を抱いたままエレベーターに向かってるいる姿を、皆ざわつきながら見ている。そこへ、今頃どこから戻ってきたのか高木の姿。

「あれ?部長どうしたんですか〜?」呑気な様子に苛つく。

「君こそ、会議の準備もせずどこへ?」

「すみませ〜ん。ちょっとお手洗いに」手には化粧ポーチが握られている。

 苛立ちを通り越し呆れる。今は柚を医務室に連れて行く方が先決だと、相手にするのを止めエレベーターに向かった。

 このビルには、入居している企業のために、医者が常駐する医務室、食堂やジムに美容室など施設が充実している。

 エレベーターに乗り込むと、ギョッとした顔や興味津々な顔でこちらを見られるが構っていられない…

 医務室につくと、年配の女医さんがいた。

「あらあら、どうしたの?ベッドに寝かしてちょうだい」

「はい」

「汗がすごいわね」

「はい。俺が見た時には胃の辺りを押さえて跪いていました。意識を失う寸前にも胃がと言っていました」

「点滴をするわね。大きい病院に行ってもらうか様子をみるわ。どちらにしても、今日は仕事は無理ね。誰か迎えに来てくれる人はいるのかしら?」