オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜

 会議室の準備も、何故か柚がしている。時間が近づいて来た頃、高木はお手洗いに行ってきますと姿を消した。そして、準備には現れない。キリキリする胃を擦りながら、机やプロジェクターを準備する。

 そして、皆が集まって来る頃だった。

 柚は胃の痛みで冷や汗が浮かぶ。胃の辺りを押さえ(ひざまず)く。

 そこへ時間より早く現れたのが…

「観月、観月!大丈夫か?」と言いながら駆け寄り、柚を支える。

「し、しいな…ぶちょう」

「どうした?どこか痛むのか⁉️」

「胃が…」と言った瞬間、フッと意識が遠のく。

 響は、咄嗟に柚の体をしっかり受け止めた。あと一歩遅かったら柚は怪我をしていたかもしれない。間に合って良かったと思うが、気を失った柚の額には汗が滲む。かなりの痛みがあったのではないかと思う。

 横抱きに抱えなおし会議室から出る所で、今日の会議のメンバーが入ってくる所に出くわした。

「えっ、観月さん?椎名部長これは…」

「体調が悪くて倒れたんだ。医務室に連れて行くから、先に始めておいてくれ」

「は、はい!」