オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜

 そのカップルが、響と柚の方に向かってくる。響の頭の中は疑問でいっぱいだ。柚の知り合いなのだろうか。

「柚〜久しぶり!」言うと同時に柚に抱きつく美女。

「柚会いたかった〜」と今度は男性が抱きついた。思わず響は立ち上がる。だが、圭吾の時と違い、なぜか引き離しては駄目な気がした。

「お父さんそろそろ離して」

「え〜」「お父さん⁉️」

 珍しく取り乱した響の叫び声がホテルに響き渡る。

「そうだ。柚の父親だが?」

「は、はじめまして。柚さんとお付き合いさせていただいてます、椎名響と申します」

「まあ、いい男」

「愛、なに言ってんだ?俺の方がいい男だろ?」

「なに娘の彼氏と張り合ってるのよ」

「だって、愛がいい男なんて言うから」

「もう。陸以上の男はいないわよ」

「愛〜」

 目の前では、ひと目もはばからずいちゃいちゃする柚の両親。響は呆気にとられ、どうしていいかわからない。

「親父お袋目立ってる」

 そこに楓が入って来た。