オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜

「すまない。待たせた」

「いえ」

 誰が見ても付き合っているカップルには見えない徹底している二人。

「これを見てくれ」

 響が差し出した紙を見て目を見開く。

「こ、これは…」

「うちの社の問合せフォームに届いたそうだ。知っているのは一部の人間だけだから心配はない」

「そうなんですね…」

 柚の表情は、ショックを受けていると言うよりは、難しい顔をして何かを考え込んでいるようだ。

「何か心当たりがあるのか?」

「…」今までは、人に迷惑を掛けなかったが、会社にまでメールが来てしまった。これ以上隠していても、会社にまで迷惑を掛けてしまうかもしれない。同じ相手だという確証はないが、内容的に同じだろう…

「実は…」

 柚は、響のマンションに寄った日に、帰りに視線を感じる事と、寄らなかった日に手紙がポストに入っている事を話した。

「なぜもっと早く言ってくれなかったんだ?」

「確証もなかったので…」

「柚になにかあってからでは困るんだ」

 会社でなかったら、今すぐ抱きしめていただろう。社内でこれ以上込み入った話は出来ないと判断し、続きは夜に持ち越された。