オフィスラブは突然に〜鬼部長は溺愛中〜

 家も知られ、生活リズムも知られている。だが、響との関係は、会社の人には知られていない。

 隠しているわけではないが、敢えては言っていない。今までと同じ、会社では他の人達と変わらず柚にとっても鬼部長だ。

 心当たりが全くないのだ。一瞬高木と、高木と仲の良かった藤本を思い浮かべたが、違う気がする。高木がいなくなってから、今までの行動が嘘のように、藤本は仕事を頑張っている。

 響か楓に相談するべきかもしれないが、二人共忙しそうだ。今の所、手紙以外の実害はない。

 視線を感じるが、証拠はない。

 警察に相談しても、現段階では動いてはもらえないだろう。何かあった時のために、手紙は保管し、視線を感じた日は手帳にメモをする。そして、出来るだけ人通りの多い道を通り、細心の注意は払っていた。

 警戒していた柚だったが、今度は会社の方に被害が出てしまう…