日本から出られない!

「あんたのナイト、すごいよね」

「ずっと引っ付いてるじゃん!」

友達に揶揄われてしまうくらい、高校も前くんがそばにいる日々を過ごした。そして、私と前くんは学部は違うも同じ大学に進学し、(前くんが「一緒の大学に行くぞ!」と言って聞かなかったため)私と前くんは大学生になってからマンションの部屋を借りて二人で暮らすことになってしまった。

「いやいや、付き合ってない男女が同じ屋根の下で暮らすっておかしいよね!?」

一緒に暮らすぞ、と前くんから言われてすぐに私は互いの親に電話をして話したものの、「二人の仲じゃないか」と意味不明な回答をされ、私の意思はお構いなしに同居することになってしまう。

しかも暮らすことになったマンションは、どう考えても学生がバイトしただけでは家賃代すらも稼げないような高層マンションで、街を一望できるその景色は素晴らしいものだったよ……。

「こんなところ、バイトいくつ掛け持ちしても家賃すら払えないよ……」

窓から見える素晴らしい景色を見て不安を覚える私を、前くんはまるで恋人にするかのように抱き締め、「問題ない。生活費は父さんたちが援助してくれる」と囁くように言った。