仕事なら、前くんでも手出しはできない。そう思い込んでいた。
出張の話をしてから数週間後、私はいつも通りに起きて仕事に行く準備をする。スーツを着て、メイクをして、かばんを持って出て行こうとすると、仕事が休みの前くんに「どこに行くんだ?」と声をかけられる。
「どこって仕事だけど」
「桜の働いている会社、もうないけど?」
そう言いながら前くんがテレビをつけると、そこには私が働いている会社が映し出されている。社長が数々の不正行為を行い、逮捕されたのだ。そのせいで会社は潰れ、私は無職になってしまった。
「……そんな……」
絶望からその場に崩れ落ちた私を、前くんはどこか嬉しそうに抱き締める。そして耳元で囁かれた。
「桜はずっとここにいればいいんだ」
それはまるで、悪魔の囁きだ。
その日から私は家の家事をして、前くんの帰りを待つという専業主婦のような暮らしに変わってしまった。仕事を探そうとしても、前くんに笑顔で止められるし、人様に養ってもらうニートになってしまったというのに、親は何も言ってこない。どうしよう……。
出張の話をしてから数週間後、私はいつも通りに起きて仕事に行く準備をする。スーツを着て、メイクをして、かばんを持って出て行こうとすると、仕事が休みの前くんに「どこに行くんだ?」と声をかけられる。
「どこって仕事だけど」
「桜の働いている会社、もうないけど?」
そう言いながら前くんがテレビをつけると、そこには私が働いている会社が映し出されている。社長が数々の不正行為を行い、逮捕されたのだ。そのせいで会社は潰れ、私は無職になってしまった。
「……そんな……」
絶望からその場に崩れ落ちた私を、前くんはどこか嬉しそうに抱き締める。そして耳元で囁かれた。
「桜はずっとここにいればいいんだ」
それはまるで、悪魔の囁きだ。
その日から私は家の家事をして、前くんの帰りを待つという専業主婦のような暮らしに変わってしまった。仕事を探そうとしても、前くんに笑顔で止められるし、人様に養ってもらうニートになってしまったというのに、親は何も言ってこない。どうしよう……。

