でも数ヶ月後には前くんは警察学校を卒業して、また家に戻ってきた。どうやら特殊な部署に配属されたらしく、毎日スーツを着て家を出て行って、どんな仕事をしているのか聞くのはダメなんだと言われた。
「おかえり、ここ最近随分遅いな」
残業続きで家に帰ると、珍しく先に帰って来ていた前くんに言われた。私はスーツを脱ぎ、「仕方ないよ」と笑う。
「取引先との打ち合わせの会議が続いているし、それが終わったらまた出張だもの」
「今度はどこに行くの?」
刑事ドラマの尋問という言葉が相応しいだろう。鋭い目でこっちを見てくる前くんに、私は手帳を見せる。
「香港の子会社と打ち合わせ……。それで出張先がイタリア?ダメだ、治安がよくない」
眉間に皺を寄せて「危険だ」と言い続ける前くんに対し、私はため息をついて「仕事だから!」と返してお風呂場に向かう。
仕事は大変なことも多くて、うまくいかないことも多い。でもその分やりがいがあって楽しい。この仕事に就いて大正解だ。
「おかえり、ここ最近随分遅いな」
残業続きで家に帰ると、珍しく先に帰って来ていた前くんに言われた。私はスーツを脱ぎ、「仕方ないよ」と笑う。
「取引先との打ち合わせの会議が続いているし、それが終わったらまた出張だもの」
「今度はどこに行くの?」
刑事ドラマの尋問という言葉が相応しいだろう。鋭い目でこっちを見てくる前くんに、私は手帳を見せる。
「香港の子会社と打ち合わせ……。それで出張先がイタリア?ダメだ、治安がよくない」
眉間に皺を寄せて「危険だ」と言い続ける前くんに対し、私はため息をついて「仕事だから!」と返してお風呂場に向かう。
仕事は大変なことも多くて、うまくいかないことも多い。でもその分やりがいがあって楽しい。この仕事に就いて大正解だ。

