この景色を、君と何度も見たかった。




【蒼 said】

復讐計画13日目。 復讐まであと16日。

昨日は復讐の場所が決まった。
SNSで復讐をするならなおさら、証拠を集めておかないといけないと思った。

「いきなり晒し動画をあげたところでバズるかはわからない。

だから、僕たちの晒し動画を全くファンの人たちをつけないといけな良いのではないか?

そうでもしないといきなり数が取れるとは思えないよ。

そこはどうする?」

僕はSNSと言う場所で復讐をするのはとても良い案だと思う。
でもある程度数字を取るにはそういうことも考えなくちゃいけない。
彼女は少し考えていた。

「私、いいこと思いついた。

晒し動画を上げるのではなくて、生中継で晒していくのはどう?

そして、

生中継をするまでの10日間の間、

動画配信アプリでカウントダウンの動画を作ってアップロードしていくのはどうかな。」

「私、動画の編集位ならできるから。」

「それなら当日を待ってくれる人がつくよね。」

「はるの案とてもいいね。」

僕は彼女にそう言った。

彼女が提案してきた案は、今までとは少し違う具体的なものだった。

日が近づいているので彼女もしっかりと考えてくれているのだろう。

現実的な僕からすればこんな具体案を出してくれる彼女の存在はすごく助かっていた。

時に少し僕には見れない視点から案を出してくる。

交わることのなかった2人が出会うとこんなにも普通とはかけ離れたことができるのだろうか。

不思議だなと思った。

でも、すごく楽しかった。

具体的にものが決まっていくことが

楽しくて楽しくて仕方がなかった。

僕たちは文化祭の準備期間のようなふわふわっとした気持ちだった。

「じゃあ今日はこの辺で終りにしようか。」

彼女は少し物足りなさそうな顔をしながら

「わかった。また明日。」

と僕に言った。僕も続けて

「また明日。」

と彼女に言った。

この準備期間のようなものがずっと続いたらいいのになと思っていた。

復讐をしたいけれどこの復讐が終わってしまえれば、彼女とのこの関係はどうなってしまうのだろうか。

もう彼女と関わることができないのだろうか。

復讐が成功するか、しないか、

どっちになるだろうと言う楽しみや

早くあの3人が地獄に落ちれば良いと思う反面、

彼女との関係が全てなくなってしまうかもしれないと言う寂しさもあった。

すごく複雑な気持ちだった。

でも僕たちが変わるために必要なことだから、受け入れるしかない。

なぁはる、君は僕とのこの関係が終わっても平気?

彼女にこんなことを聞けるはずがないが、心の中では何度も聞いていた。

この何とも言えない複雑な感情はなんだろうか。

僕はもう何も感じない人間だと思っていた。

生きているのだから何かを感じるのは当たり前だろうと他人は言うだろうが、僕にとっては当たり前じゃなかったから。

彼女と出会ってから不思議な感覚になることが多い。

そしてたくさん振り回される。

でも振り回されるこの感覚が、

誰かに求められているようなこの感覚が、

僕にとってはとても心地良いものなんだ。

だからやっぱり復讐計画を進めて必ず成功させる。

妹が笑顔だったあの景色をもう一度見たいから。

復讐計画12日目終了。