少女が7歳を迎えたバースデーパーティーは、大変盛大なものでした。


『両親』も駆けつけ、この病院にこんなにも人がいたのかと思わんばかりでした。

話しによると、既に退院された元患者さん達も、少女の為に、いえ、元気を貰った少女にお礼をする為に、集まってくれていた様でございます。


人形やバッグ、ドレス、気の早いある会社の社長さんなんかは、ゴルフのレディースセットまでも…。

様々なプレゼントが病室を飾りました。

もちろん、誰もが使われることはないとは知りつつも、夢と希望を持って準備したものでした。



その時『ママ』が、少女に尋ねてしまったのでございます。


『こんなにも沢山の人が、あなたが元気になるのを待ち望んでいるのよ。良かったね。退院したら何から始めようかなぁ。あなたの夢は何だったっけ?』


あの看護師さんの息を止める音が、聞こえた気がしました。

何も知らない他の人達は、少女の唇に注目しておりました。

この頃の少女は、意識はハッキリしていたものの、動く力はほとんど無く、話すのもやっとでございました。

『無理に話さなくても良いのよ。確かアイドルだったわよね。頑張ればきっとなれるわよ。』

『ママ』のフォローに何人かが納得の声を呟いておりました。


すると、少女はゆっくり、か細い声ではありましたけれども、声にして想いを告げたのでございます。



『わたしの、夢は。』


『天国へ、行くこと。』


それ以上のことを話さなかったのは、少女なりの、育ててくれた両親への感謝の気持ちであったと思われます。

部屋は、無理矢理の笑顔と涙に包まれたのでございました。