「今日はありがとう」
観覧車に乗り込むと同時にお礼を伝えると、大橋くんはぶんぶんと首を振る。
「何も、してないよ」
「してくれたよ」
今朝は本当に辛くて、どうすればいいのか分からなかった。
一人になりたくて教室から逃げ出したけれど、
あのまま一人だったら。大橋くんが来てくれていなかったら。
きっと辛さから抜け出せず、今でもただただ泣いてばかりいたに違いない。
「俺がつらかった時、滝川さん、そばにいてくれたでしょ。だから、これはその時の、お返し」
夕日のまぶしさに目を細めながら、目の前に座っている大橋くんが照れ臭そうに笑う。
「あの時と同じ、きれいな夕日」
大橋くんがぽつりとつぶやく。
大橋くんの言葉につられて私も外に視線を移すと、ハッと息をのむほど美しい夕日が瞳に映った。
「なんだか、懐かしいね」
大橋くんがポジション争いに負けてしまってスランプに陥ってしまった時。
あの時も教室に夕日が差し込んでいた。
もうあれはどれぐらい前のことになるんだろう。
私があの日の夕日について思い出しているのが大橋くんに伝わったのか、
大橋くんも「そうだね」としんみりとつぶやく。
「助けてくれて、ありがとう。巻き込んで、ごめんね」
今日1日、ずっと伝えたかったこと。
私をかばったせいで、大橋くんも先輩から食ってかかられていた。
嫌な思いだってしたはずだ。
それなのに、心配して追いかけてきてくれて、その上支えてくれた。
「俺が勝手にしたことだから、気にしなくていいよ」
そういって笑ってくれたけれど、やっぱり申し訳なかったなと思ってしまう。
「あんまり、無理しなくてもいいと思うよ」
大橋くんの視線が私に向く。
「滝川さんの彼氏、きっと滝川さんのこと、とても大切に思っている。だから、きちんと苦しみを伝えたら、その苦しみから守ってくれると思う」
「そうかな…………」
素直にうなずけなかった。
正直今は、涼くんの考えていることがよくわからない。
涼くんにとって、私はどんな存在なのかな。
特別な関係だって思っていたのは、もしかしたら私だけだったのかな。
観覧車に乗り込むと同時にお礼を伝えると、大橋くんはぶんぶんと首を振る。
「何も、してないよ」
「してくれたよ」
今朝は本当に辛くて、どうすればいいのか分からなかった。
一人になりたくて教室から逃げ出したけれど、
あのまま一人だったら。大橋くんが来てくれていなかったら。
きっと辛さから抜け出せず、今でもただただ泣いてばかりいたに違いない。
「俺がつらかった時、滝川さん、そばにいてくれたでしょ。だから、これはその時の、お返し」
夕日のまぶしさに目を細めながら、目の前に座っている大橋くんが照れ臭そうに笑う。
「あの時と同じ、きれいな夕日」
大橋くんがぽつりとつぶやく。
大橋くんの言葉につられて私も外に視線を移すと、ハッと息をのむほど美しい夕日が瞳に映った。
「なんだか、懐かしいね」
大橋くんがポジション争いに負けてしまってスランプに陥ってしまった時。
あの時も教室に夕日が差し込んでいた。
もうあれはどれぐらい前のことになるんだろう。
私があの日の夕日について思い出しているのが大橋くんに伝わったのか、
大橋くんも「そうだね」としんみりとつぶやく。
「助けてくれて、ありがとう。巻き込んで、ごめんね」
今日1日、ずっと伝えたかったこと。
私をかばったせいで、大橋くんも先輩から食ってかかられていた。
嫌な思いだってしたはずだ。
それなのに、心配して追いかけてきてくれて、その上支えてくれた。
「俺が勝手にしたことだから、気にしなくていいよ」
そういって笑ってくれたけれど、やっぱり申し訳なかったなと思ってしまう。
「あんまり、無理しなくてもいいと思うよ」
大橋くんの視線が私に向く。
「滝川さんの彼氏、きっと滝川さんのこと、とても大切に思っている。だから、きちんと苦しみを伝えたら、その苦しみから守ってくれると思う」
「そうかな…………」
素直にうなずけなかった。
正直今は、涼くんの考えていることがよくわからない。
涼くんにとって、私はどんな存在なのかな。
特別な関係だって思っていたのは、もしかしたら私だけだったのかな。



