ずっと探していた人は

「もーう、どこ行くのよ」

1人にされた寂しさを紛らわすように、当たらないボールにバッドをビュンビュン振る。

「おまたせ」

「どこいってたー……」

大橋くんの声と共に後ろを振り向くと、大きなくまのぬいぐるみを抱えた大橋くんが立っている。

「はい」

あげる、と少し顔を赤くしながら、大橋くんは私にぬいぐるみを差し出した。

つぶらな瞳で、茶色いもふもふした毛の大きなぬいぐるみに、私は手を伸ばす。

「ほんと? ほんとにもらっていいの?」

嬉しくてぬいぐるみをぎゅっと抱きしめながら聞くと、大橋くんは大きくうなずく。

「ありがとう~絶対大切にする!!」

もう一度ぬいぐるみをぎゅっと抱きしめる。

大橋くんは嬉しそうに笑った。


バッティングセンターを出た後は、ファストフード店で昼食をとった。

涼くんとデートする時は、いつもイタリアンやフレンチっていった、おしゃれなお店ばっかりだった。

だから、なんだか男の人と2人きりでファストフード店にいることに少し違和感があったけれど、気軽で新鮮で楽しかった。

「ねえ、次はショッピングしたい」

「お、わかった」

食べ終わると同時に言うと、大橋くんはすぐにトレーを片付け、街で一番大きいショッピングセンターまで連れてきてくれた。

「じゃ、俺、ここで待ってる」

「はい??」

女の子と一緒に買い物をしたことがないらしい大橋くんは、店内に一緒に入ることを恥ずかしがった。

そんな大橋くんの腕を引っ張って、無理矢理店内に連れて入るのも楽しかった。

ショッピングをした後は、カフェでパフェを食べながらおしゃべりした。

大橋くんは甘いものが大好きらしく、私よりもじっくりと時間をかけてパフェを選んでいた。

ちなみに、2,3日に一度は、練習終わりに自分へのご褒美として、コンビニでカップに入っているケーキを買うらしい。