途中コンビニに寄り道をした。

きちんと朝ご飯を食べてきたというのに、野球部の3人は大量におにぎりや菓子パンを買い込む。

そんな些細なことでも今日は面白かった。

「ほい」

コンビニを出たところで、徹が私にペットボトルを投げる。

「いいの?」

「おー、いいぜ!」

徹が投げてくれたペットボトルは、私が一番大好きな、少し甘めのカフェオレだった。

「ありがとね」

いつもいつも、ありがとう。

心を込めた感謝の言葉に、徹は朝の雰囲気に負けないぐらい爽やかに笑った。

それからみんなで喋りながらーと言っても、野球部の3人は“食べながら”だったっけれどー登校した。

みんなとの登校は、明るくて楽しくて、何よりも1人じゃないという安心感があった。

けれどそれも、教室に着くまでのことで。

いつもよりざわついた教室に入ると、目の前には信じられない光景が広がっていた。


「滝川加恋は、坂口涼くんをストーカーしている」


黒板に書かれた言葉が視界に入ると同時に、一瞬ですべての音が私の脳内から消え去る。