「おはよーございます!!」

翌朝、インターフォンと同時に大きくて元気な声が私の家を包んだ。

「加恋! 徹くんが来てくれたわよ~!」

階下からお母さんが叫んだけど、お母さんに叫ばれなくても2階の私の部屋まで徹の大声は届いていた。

「そんなに大きな声出さなくても聞こえるってば!!」

慌てて玄関を飛び出た私に、徹は笑った。

「今日の加恋、かわいいじゃん! 髪の毛ぐるんぐるんしてる!」

「はー? そこは、”今日も”、でしょ!!」

確かに髪の毛をまくのは久しぶりだけどさ。

それよりぐるんぐるんって誉め言葉??

歩きながら、色々な意味を込めて軽く徹を睨む。

すると急に徹が「おーいっ!」と叫んだ。

徹の視線と同じ方向を見ると、見慣れた3人が立っていた。

「おはよ、加恋!」

「おーっす」

「おはよう」

「どうしてみんないるの?」

由夢、中川くん、大橋くんの顔を順番に見渡す。

すると徹を含め4人が一斉に笑った。

「たまたまだよ!」

「そうそう、たまたま」

「たまたま5人そろうことなんてある?」

不思議に思ってみんなに問い返す。

「まあいいじゃん、みんなで学校行った方が楽しいしさ」

中川くんの一言で、私は気づいた。

みんな、私のために集まってくれたんだって。

「ありがとう」

みんなの背中にお礼の言葉をぶつけたけれど、その声が届いた由夢は振り返って、加恋のためじゃないよ、っと笑った。