【今、電話できるか?】
夜、何もする気が起きなくてただベッドに寝ころんでいると、スマートフォンが鳴り、新着メッセージが来たことを知る。
【うん、大丈夫】
返事をすると、すぐに電話がかかってきた。
「もしもーし」
電話口から徹の元気な声が流れてくる。
いつもと変わらないその声に、思わず涙が出そうになる。
徹の声に、無性に安心している自分がいた。
「はい」
涙が引っ込むことを願って大きく深呼吸をする。
「遅くにごめんなあ!」
「いいよ、練習お疲れ様」
「うん、本当にお疲れ様なんだ」
夏の大会が終わってから練習が厳しくてさ、と徹は電話口で嘆いていたけれど、その声はどこか楽しそうだった。
「新しいチーム、どうなの?」
今年の夏の大会は、地方予選3回戦で負けた。
そして3回生引退後の新チームでは、中川くんがキャプテンを務めることになったと聞いていた。
「んー、まとまりはぼちぼちかな? 中川は1年にはこれまた厳しいからさー、1年は毎日びくびくしてると思うぜ」
「そうなんだ」
下級生に厳しく指導している中川くんが目に浮かんで、思わず私は笑った。
「あいつ、1年には陰で、『鬼』って呼ばれてるらしいぜ」
「なにそれ」
チームのためを思って厳しく指導しているのにそのいわれようは散々だな、と同情しつつ、少し笑ってしまう。
「けど、あいつ、本当に鬼になんの。俺ら2年にも容赦ないの」
徹は、いかに中川くんが厳しいのか、私に思う存分語った。
そしてその後は、新しいチームの雰囲気や、つい最近から取り入れた少し特殊な練習内容、自分の調子とかについてたくさん話してくれた。
いつも学校でも話しているのに、徹からは次々と新しい話が出てくる。
面白くて聞き入っていると、気が付けば電話を始めてから既に一時間半が経っていた。
夜、何もする気が起きなくてただベッドに寝ころんでいると、スマートフォンが鳴り、新着メッセージが来たことを知る。
【うん、大丈夫】
返事をすると、すぐに電話がかかってきた。
「もしもーし」
電話口から徹の元気な声が流れてくる。
いつもと変わらないその声に、思わず涙が出そうになる。
徹の声に、無性に安心している自分がいた。
「はい」
涙が引っ込むことを願って大きく深呼吸をする。
「遅くにごめんなあ!」
「いいよ、練習お疲れ様」
「うん、本当にお疲れ様なんだ」
夏の大会が終わってから練習が厳しくてさ、と徹は電話口で嘆いていたけれど、その声はどこか楽しそうだった。
「新しいチーム、どうなの?」
今年の夏の大会は、地方予選3回戦で負けた。
そして3回生引退後の新チームでは、中川くんがキャプテンを務めることになったと聞いていた。
「んー、まとまりはぼちぼちかな? 中川は1年にはこれまた厳しいからさー、1年は毎日びくびくしてると思うぜ」
「そうなんだ」
下級生に厳しく指導している中川くんが目に浮かんで、思わず私は笑った。
「あいつ、1年には陰で、『鬼』って呼ばれてるらしいぜ」
「なにそれ」
チームのためを思って厳しく指導しているのにそのいわれようは散々だな、と同情しつつ、少し笑ってしまう。
「けど、あいつ、本当に鬼になんの。俺ら2年にも容赦ないの」
徹は、いかに中川くんが厳しいのか、私に思う存分語った。
そしてその後は、新しいチームの雰囲気や、つい最近から取り入れた少し特殊な練習内容、自分の調子とかについてたくさん話してくれた。
いつも学校でも話しているのに、徹からは次々と新しい話が出てくる。
面白くて聞き入っていると、気が付けば電話を始めてから既に一時間半が経っていた。



