「ぷっ! はははっ」
私が謝ると、途端に純太は大声で笑い出した。
「あははっ、なーんてな。嘘だよ、嘘。まさか、本気にした?」
「……え?」
「俺もさ、こんな寝癖ついてて、髪もぼさぼさの若葉とキスするのはごめんだわ」
そう言って、さも可笑しそうに純太は私を指さす。
もう! そんなに笑うことないじゃない。
「バカ純太!」
「俺はバカじゃねぇし。つーか、バカって言うほうがバカなんだよ、カーバ!」
「何よーっ!」
純太とは、顔を合わせるといつもこんな感じで言い合っている。
「だいたいねぇ。勝手に人の部屋に入って来ないでって、いつも言ってるのに。いい加減、やめてよね!」
「えー、やだね。若葉の寝起きのひどい顔見るの、おもしれぇんだもん」
面白いって、一体どんな趣味してるのよ。
こっちとしては、純太に……好きな人に寝起きの顔なんて見られたくなくて、部屋に来ないでっていつも言ってるのに。
純太は乙女心が分からないのか、一向にやめてくれない。それどころか面白がって、ほんと意地悪なんだから……!