いくら相手が気心の知れた幼なじみでも、キスはダメーーっ!


「3、2……」


純太が『1』と発する前に、私はようやく目を開けた。


「あっ、やっと起きたか。この寝坊助(ねぼすけ)め」


当然ながら目の前には、私を覗き込むように見る純太の整った顔がドアップであった。


きゃ〜〜!


「おはよ、若葉」

「おっ、おはよう純太……」


私は首元の布団を再び上まであげ、顔を隠す。


うぅ。いつものことながら、また純太に寝顔を見られてしまった。


「若葉、顔まで隠して。お前、そんなに俺とキスするのが嫌だったんだ?」

「え?」

「あーあ。俺、若葉にそんなふうに思われていたなんて。悲しいなぁ」


純太の声のトーンが下がる。


うそ!? 純太、まさか落ち込んで……?


「ごっ、ごめん。純太……」