わたしは振り向いて、当たり前のように玄関までついてきた紫央に尋ねた。 何やら、見覚えのある大きなバッグを肩に下げている。 たぶんお母さんのエコバッグだ。 「今日はどうするの?」 「ヒミツー」 満面の笑みでかわされた。 「ま、あとでわかるよ」 「あとで?」 なんだか嫌な予感がした。 「……言っとくけど、学校はついてきちゃダメだよ?」 「うん!」 不安しかないのだけれど。 のんびりしている場合じゃない。 急がないと遅刻してしまう。 ひらひらと手を振る紫央に背を向けて、わたしは扉を閉めた。