イノセント・ハンド

『ジュンさん。とにかくあの女性は、誰かを見た。それも知っている誰かを。何か写っていないか良く調べてください。』

『分かった。サヤさん任せて下さい。あれ…課長?どうかしましたか?』

さっきから何も言わない富士本に宮本が聞く。

富士本は、モールのカメラが捉えた少女の姿が、気になっていたのである。

そこに、警視総監襲撃犯の取調べをしていた白沢刑事が入ってきた。

『課長、そして紗夜さん。ちょっとお願いできますか?』

『ああ、何だ?全て吐いたか?』

『それが・・・とにかく来てください。』

二人は、取調室の隣室へと行った。




取調室の中では、30代半ばの
男が、泣きながらテーブルに突っ伏していた。

『やっていないんだ・・・。俺達は、やっていないんだ・・・』

『おいおい、あんな現行犯で、やっていないは無いだろうが?それに、俺達?共犯者がいるのか?』

富士本が白沢を詰める。

彼をじっと見ている紗夜。

『あれは・・・本当です。彼は嘘は言っていません。』

キッパリと告げる。

『サヤ!お前まで、そんなことを。』

富士本は、もう分けが分からなかった。


そこへ咲が来た。

『サヤ、お迎えが来たよ!風井警視直々にね。玄関前の車でお待ちよ。』

『おお、そうだった!サヤ、今夜はもういい。急いで支度しなさい。』

命の恩人に、警視総監からディナーへの招待であった。

『はい。』

いやに素直に・・・?と、富士本は不思議に思った。

紗夜が出て行く。

『あ、サキ、待たせちゃマズイから、彼女の化粧直しでも手伝ってやってくれ。』

『そうね。分かったわ。』

咲も出て行く。


『さぁて、どうしたもんかな。ところで、こいつの身元は?』

『はい。彼の名は、山岸努(やまぎし つとむ)。』

(なにっ!?)

富士本が彼を見る。

『彼は今年の春まで、ムショにいました。罪名は殺人です。』

『じゃ・・・じゃあ、彼が否定しているのは、もしかして・・・』

『17年前の警官殺しです。』

(!!・・・)

富士本は、気を失いそうなショックに見舞われたのであった。