病院を出たのは5時半を過ぎていたというのに、夏の太陽はまだ元気なのか、外は明るく熱気がそこら中に漂っている。

病院の寒いくらいの涼やかな空気から、一気にどんよりじっとりとした気持ち悪い空気が私の肌をまとう。

 私は病院から家路を進んでいた。

だけど途中で駅に引き返した。

スマホの検索履歴をたどって、あの撮影スタジオにたどり着いた。

駅からほど近い裏口から入ろうとしたけど、鍵がかかっていた。

仕方なく、正規の扉から入ることにした。

建物の外をぐるりと回りながら、道路に面する窓を見上げた。

そこからは、まだ明るい光が漏れ出していた。