「え…え〜…いや、私は美琴を止めに来ただけで…へへ」



私が目を逸らしてヘラヘラ笑うと、唯くんが冷たい声を出した。



「…ふーん。じゃあ早く教室帰れば?」



唯くんのキレイな手が教科書をパタン、と閉じた。



「優花も他の男と仲良くしたらいいんじゃない」




……え?





「……どういう、こと?」





明らかに悪意を含んだ唯くんの言葉たちに怯んで、声が震える。


紫藤ユリアを貼り付けたままの唯くんが立ち上がって、無表情で私を見下ろした。


その光景は奇しくも昨日と同じで


ドロドロとした感情がわたしの全身に行き渡っていく







「優花が他の男と仲良くしても、ハグしてもキスしても気にしない。」





私の理解が追いつく前に、
唯くんは淡々と言葉を連ねていく。





「ただのスキンシップだし。全然ヘーキ。」





淡々と、淡々と





「ほら、早く帰ってイケメン探せば?顔のいい男が好きなんでしょ。」





私の心を土足で踏みにじっていく。










バシン!!












大きな音が響き渡り、教室が静まり返った。